路上の春紫苑

帰り道に咲いてた
ちっさく咲いてた
雑草だ 貧乏草だと貶されようと
立派に咲いてた
君に唄を贈ろう


路上の春紫苑

すっ と息を呑むんだ
ぐっ と沈黙に堪えて
さっ と木洩れ日を縫って
閑かに日を辿る

誰かに 踏まれ生きてた
讃美など 露に知らず
今日も 路の端で
名も無き花を抱え明日へ駆けって

あの
庭園の真ん中に佇む彼等には名があるようで
「君は醜いね」ってさ
いつも僕を見下ろし 嗤って
アスファルトの硬さに砕かれ
冷たさに慣れ それでも僕は

生きてやるんだ 誰よりもずっと
生きていくんだ 踏まれ続け強さ背負って
生きていくんだ 今日より強い明日へ拝啓

生きて 生きて 生きて 生きて

湧けよ 春紫苑