小雨

小雨が降り続いているようで
僅かな水滴がアスファルトの歩道を濡らし鈍く光らせる
雨の音が微かに
雨の匂いは俄かに
辺りの空気を湿らせて雰囲気を演出して
空は碧い曇天
遠くの山々には靄がかかり霞んで見える

1人歩く

ジャケットにはポツポツと薄い斑点が
傘がないため髪にも小さな水滴が乗っかる
ゆったり歩く ぼんやり歩く

弱い一滴一滴を手のひらで拾えば 拾った水分は体温で溶ける
残念残念と手を振る
掬えるかな なんて突発的で幼稚な発想に笑ける

顔にも水滴は疎らに張り付いて水玉模様を描く
ちっこいのが2つ3つくっついておっきくなってポツリたれる
折角の模様をハンケチで拭き取るような物騒なことはしない

1人歩く

今日は友はいない
それどころか道行く人もいない
誰もいないのをいいことに僕は小さく歌を歌う
意識せずに口ずさんだのはこんな湿った日には不似合いな楽しい曲だ
曲名はなんていったか覚えてない
歌詞だけがまだ残っている

空は青く澄み渡り 海を目指して歩く
怖いものなんてない 僕らはもう1人じゃない

歌を口ずさむ テクテク歩く