左利き

僕はは元々左利きだった
けれど左利きは生活に不便だろうと母が右利きに矯正してくれたらしい
だから今は右手で文字を書くし右手で箸を持つ

その矯正は正しかったと思う
お陰で変に不便することはなかった
しかし僕はある日から左利きの記憶を取り戻そうと密かに目論んでいた


鉛筆は左手で持ち 箸も左手
時計は右の手首に巻き付ける
普段やらない行為
やってみると面白くて
身体が本能的に違和感を感じる
脳の使ってない部分が使われている感覚が堪らない


きっかけは色々あったけど結局は
左利きってなんか良いよね
みたいな短絡的な思惑からだろう
実は脚の方は左のまんま
レフティーって名乗れるのは自慢の種だった
もっと右脚が使えてたらなぁ とも思う


左手生活を始めてもう数ヶ月経ってる
だいぶ身体は慣れてきている
右手と同じとまではいかないけど 左手で殆どのことはできる

遊びで始めたことがここまで発展した
やってよかったと思う
脳の活性化
苦手意識への抵抗
齎された副産物はこれからの人生の大きな糧になるはず
今ならなんでもできる
本当にそう思える
もっと精度を高めて両利きを名乗ってみたいものだ