喧噪は遠く

何度も此処と彼方を行き来している
へとへとに疲労した体に鞭打っては
もう一度あと一度

帰路につけば喧噪が遠退く
耳を塞げば聴こえる脈動
街の雑音はまだ頭の淵に

帰る家までの道程は静かだ
靴底がアスファルトを蹴る音と風が私をすり抜ける音
星は雲に覆われて見えない
僅かに漏れた月明かりだけが数歩先を照らす

寒さは行きよりも増したようで
公園を囲うフェンスは冷たい
吐息も煙っては夜空に溶けていく

静かな場所がやっぱりいい
改めてそう思うし
騒がしいのはいつも人だ