耳鼻科

長年蓄えた鼻の膿の治療で耳鼻科へ通う
土日が定休日なだけに月曜日の診療はいつも混む
患者の年齢層は幼児が一番多くて次に高齢者そして学生といった感じ
幼児と学生は学校帰りの格好で待合室のソファに座っている
どこかで聴いたようなメロディをオルゴールが奏でていて
そのBGMに混ざって受付の女性の声 子供が絵本を音読する声 院長が隣りの部屋で治療をする声
色んな音が静かに混ざり合って心地好い空間を作りあげている
僕はこの空気感がとても好きだ
静かで落ち着いていて
それでいて些細な音が許される
図書館の静寂とはまた違った空間
本を読みながら自分の番を待つ
どの場所よりもページが進む

看護婦さんが僕の名前を呼んだ
本をパタリと閉じておずおずと診療室へ向かった


次来るのはいつになるだろうか
数年後かな もっと先かな
暫くこの耳鼻科にお世話になることはないだろな
料金は670円
僕は財布からちょうど取り出して手渡す
院長も看護婦さんも お大事に と言った
僕は小さく会釈をした

今日で治療が終わった