二ノ影

鳥が飛んでいた
私は地面に落ちた影を追う

影が増えた
上空には二羽の鳥
大きな翼を叩いて空を舞う

旋回する二ノ影
想うは遥かな平原と蒼天
しかしここは只の住宅街の一角
舞踏曲もそよ風の揺蕩う掠れ聲のみ

あぁ 何処かへ飛んで行きたい
彼等のように無垢に自由に
空はこんなにも広いのに
飛び立つ滑走路も空高く翔ける翼もない

影は遠のく
二つの影は遠方の山嶺へ疾っていく
私だけを取り残して