昼夢

駅への渡り通路を歩いている

右から左へ 左から右へ 自動車が足下をくぐり抜けていく

開けた眺望 見晴らしが良い

吹き抜けた風が身体に圧をかけてくる

負けじと踏ん張り 風を押し返す

構内へ入る

人は少なめ 外国人がちらほら

ここも変わったな と感傷に浸るのは今日でn回目

駅の改札も チケット売り場も 昔に比べて2倍近くに

発展 というやつだ

駅は今も改装中 発展中 発展途上

 

いつも通り3番ホームへ

電車はまだ来てない

向かいのホームには2人の女の子があいすくりぃむを手に持ったままお喋り中

早く食べないと溶けちゃうよ と言わんばかりに一羽のハトが足元をうろうろと

ハトは えらい かしこい

人が餌をくれることを知ってる

残念な良識派 これが自分の知ってる現代の野生のハト

向かい側の電車が来た 2両だ 短い

電車はあいすくりぃむと女の子たちを乗せ 出発進行

ハトはひとりぼっち うろうろ うろうろ

 

暫くして こちら側の電車もやってきた 3両 ちょっと長い

最後尾の車両に乗り 1番後ろの席に腰掛ける

窓から差す日差しが熱い 右の頬だけが日焼けしていく

ドアが閉まり ゆっくりと助走を始める

目線の先が進行方向 徐々にスピードが上がっていく

景色を振り切り駆け抜ける速度に達した頃 雲が太陽をそっと覆い隠した

右頬の熱が冷めていくのを感じる

同時に目を閉じて 手を止めて 一呼吸

心地よかったため もう一呼吸

心の音が脈打つ どくんどくん と

それを数えながら 意識は遠のき 夢の中へ

 

完全に寝過ごした