昨夜

昨日の夜を思い出してる

面接を終え 絶望感を抱えながら帰路につく
夜なのに電灯が眩しい池袋駅周辺をフラフラと彷徨い歩く
僕は何処へ行くのだろう と行方知らずに人混みに紛れる
そんな下向きな心に都会の風は冷たすぎた


住み慣れた故郷では
私 と すれ違う人 の関係は
私 と 他人

だけど
都会の街では
私 と 風景

逆も然りで
私はすれ違う誰かにとって
道端に転がった石ころみたいなもんで
ただの風景でしかない
他人ですらない

この街には
長きを一緒に過ごした友はいない
愛で暖めてくれる両親もいない
私はこの街で ひとりぼっちだ


新幹線に乗って
なんもする気が起きなくてただ窓の外の世界を茫然と眺めている
イヤホンから流れてくる大好きな曲が心に刺さる

楽しけりゃ笑えばいいんだろ
哀しい時は泣いたらいいんだろ
虚しい時はどうすりゃいいの?
教えて 教えて

歌詞を口ずさむ
渇いた涙が頬を伝う


新幹線が広島に着いた頃
もう日を跨ごうとしていた
乗り換える電車は0時11分が最終便
乗り遅れたら野宿か
なんだか渇いた笑いが出て
それもいいな とか言いながら結局乗るんだけど

最寄り駅に着いたらタクシーで家まで
そこまで遠くない距離だから運転手さんは少しガッカリしたんじゃないだろうか
ごめんなさい と思いながら630円を手渡す
代わりに言った ありがとうございました は届いてないと思う

やっと家に着いた
暖かな灯が迎えてくれてる
僕の帰りを 僕の笑顔を 待ち望んでくれているのに
なんだか申し訳なくなって
やっぱり残念な気持ちになった
ただいま



今日になって
また明日が来て
また昨日の夜は薄れていくのかな
薄れぬよう 書き留めていよう

今日は未だダメだ
でも明日が来て
昨日の夜を踏みつけてまた立ち上がる
切り替えて二期の試験へ向かっていけると思う