小さな命だった

東京には歳の離れた従兄弟がいる
今日挨拶をしに行った
従兄弟にはもう奥さんがいて まだ幼い二児がいて
良い家庭を築いている最中だ

二人の子供なんだけど
一人は2歳にも満たない女の子で結音ちゃんっていう
もう一人は数ヶ月前に産まれた男の子で羽音くんっていう
従兄弟と奥さんが音楽関係の仕事をしているので名前に 音 という漢字を入れたかったらしい


結音ちゃんは元気な子だった
お絵描きをしてそれを僕に見せびらかす
うまいでしょっ って自慢気に
可愛らしい
急に僕に猛突進して抱きついてくる
どうやら気に入られたみたい

羽音くんはベッドでスヤスヤと寝ていた
偶に泣き出して親に助けを求める
落ち着いた頃 少し抱かせてもらった
小さな瞳が此方を見つめている
初めて見るお兄さんに不思議な色を浮かばせながら
僕の貧相な腕には重くて
落っこちたら消えてしまいそうな小さな命だった
それを分かっているから尚更重い


自分が幼い頃を思い出す
記憶があるわけじゃない
ただなんとなくぼんやりと
親戚に囲まれて
存在自体を祝われていた感覚がまだ残っている
沢山お世話してもらって遊んでもらって
今は 君が小さい時はあの頃はって話をする
どうだ少しは大きくなれたか