花を摘む少女

昼時の帰り道
飾り気の無い道を一人で歩く

歩く先に女の子がいた
赤いランドセルを背負い黄色い帽子を被っている
小学3年生くらいだろうか
彼女は道の脇で外側を向いて立ち止まっていた
何かを探している様子だ

少し近づいていくと彼女の視線の先にあるものが見えた
家の周囲の壁に掛けてある植木鉢
その中に咲く色とりどりの花
赤青黄色
少女は不思議と好奇を目に浮かばせ物欲しそうに見つめている

やがて少女は一つの花に手を伸ばした
人差し指が花弁に触れる音がして
次の瞬間には茎の千切れる音がした

少女の手には幾本かの花
満足そうな笑みでまたキレイを探している

私はただただ見守った
黙って横を通り過ぎる
無垢な秘密の香りがした