揺すり

足を揺する
寒いのだ
ベッドの上 毛布の上
なぜ毛布の下に潜らせないの と自分でも思うのだけど
この揺すりが 文章を書くには適してるんじゃないかなって たった今思った

指先冷える 身体の上部に向かうにつれて内側の温みを感じる
脳内は適温
冴える ってほどじゃないけど

寒さが文字を急かす
指先が悴む
中指が1番悲鳴を挙げて急かしてくる
揺すって揺すって寒さを誤魔化す


どうしよう 滞った
続き続き 続きになるものを探す
部屋を見渡す

空気清浄機だけが低振動で稼働している
適度な雑音だなと思う
無音ってのはやっぱり怖いかな
目を閉じて 音の無い世界を一瞬想像した
ゾッとした
した?いやちょっと笑った
みんな口をパクパクしてる
破顔して笑ってるんだけど どうも阿呆に見える
一度見てみたい馬鹿らしい光景だ
一時的に世界中を無音にする技術を生み出しておくれよ技術者さん魔法使いさん

窓でも開けてみるか
部屋の中よりも更に鋭い冷気が無断で入ってくる
無音のようで何かの音は聴こえてる
後方から聴こえる機械音もとい些細な雑音にすら掻き消されそうな微音かな
こういうの 無音が聴こえてくる って表現したらちょっとは格好がつくか?
隣人には笑われるか?
てか寒い
指先までもが喧騒する
こりゃいかんと窓を閉める

お手手の指先ももう限界だ
やめだやめだ
もうお開きの時間だ
揺すりも酷く痛々しいものになってきてる
毛布に足を突っ込もう
いやシャワーを浴びてこよう
この冷気漬けの足に熱水を浴びさせてやろう
で 寝よう
明日の朝も寒いのかな
明日の夜も寒いのかな
やだな