19の夜

誕生日
また歳をとった
今年で19
誕生日を喜べるのもあと数年くらいなのかな
家族からは電話が来た
友達からもメッセージが届いた
温かかった

打って変わって19の夜は涼しかった
外で鈴虫が鳴いているからだ
耳をすますと 遠くで夜を敲く音が聴こえた
走り出したくなる心を抑えて 静かに晩ご飯を食べる
誕生日だから奮発してデザートまで買った
今日くらい構わんだろう

おっと外のボルテージが高まってきた
いよいよクライマックスなのだろうか
華の散り際はどうだろうか 美しいだろうか
今にでも窓から飛び出して捕まえに行きたい気分だ
遠くでまた音が響くよ
夜の鼓動が
花火の咲く合図が
夜に咲くのだ 夜が咲くのだ
あわよくばその一端を 誰かと共に真下で眺められたらよかったのに
一つ遅れの七夕にも願ってみせた

しかし願い事の許容範囲を超えてしまったのかな
朝切り忘れた目覚まし時計が咎めるようにけたたましく鳴った
雰囲気も感傷もぐちゃぐちゃにしやがった
最悪だ
そんな ひとりぼっちの19の夏