あの風にのせられて

台風19号
史上最大級と謳われたかれは 北東の海上へと消えていった
空一面をかっさらい 雲ひとつない平穏な空を残して

本日は快晴
日が沈み 待つは夜のその光
今はただ きれいな夕暮れがみえるばかりだ


昨晩 千葉にいる友達と通話をしていた
台風 やばいなー って
うん そうだなー って
どこかでダメになっていく自分を
なんとなくラクに逃げてしまう自分を
友は 笑いまじりに語った
僕にもなんとなく思い当たる節があったから 一緒に笑った

それから
窓を叩く大袈裟な風の音を誤魔化そうと 僕らはお酒を飲んだ
そうだ僕はもう二十歳になったんだ
あれだけ嫌っていた酒も煙草も もう大丈夫
ダイジョーブなんです
誰が何と言おうと 大人になった僕はこれを
寛容になった とちょっと難しい言葉を使って正当化することができる
こんな僕らなら
いっそぜんぶ 台風に吹き飛ばされて仕舞えばいい



だが今日も朝が来た

「人間が人間である故に人間であるということ」

急に頭の淵に浮かんできた言葉に 意味はありえない

即ち 満月